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細切り昆布のコラム
文楽との出会い
文楽を初めて観てからあっという間の六十年。物心ついた時に祖母に連れて行かれ、祖母は桐竹紋十郎さんのファンで、その当時のことを、いまだによく覚えています。客席はおよそ二十名弱。はるかに技芸員の方々の方が多く、寂しい時代でしたが、舞台は名人ばかり。何もわからない子供の私が、おとなしく観ていたのは、今、思い出しても不思議です。幕間に祖母がこそこそとストーリーを教えてくれたのを覚えています。いつの間にか文楽も復活し、今日の隆盛があるのが大変嬉しいです。勘十郎師匠は、若いころからよく存じ上げております。よく人形が動く、素晴らしいです。私もここ十年くらいで、自然に文楽が隅から隅まで理解出来るようになりました。近松は、ほぼ全文が解読出来ます。技芸員さんの修行も大変ですが、観客としても修業をし、やっと素晴らしさがわかる今日です。これからは、私もわかりやすい文楽の解説書を書き、よりよく文楽を楽しんでいただくようにしたいと存じます。

神宗 隠居 尾嵜 彰廣

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